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当該本社にて従業員数約50名（計画時）を抱え、所在地である埼玉県内を中心に業務を行う、創設50年を迎えた中小規模の印刷会社です。

昨今、印刷業は時代の流れの変化により、苦境に立たされている業種の一つと言っても過言ではないが、今回のクライアントに於いても時代のニーズに則し、多様化したサービスの提供をするべく、3代目となる30代半ばの若き社長へ先代より舵取りのバトンが手渡され、今回世代交代による新たな体制作り、若返りのためや、さらなるサービス向上を目的に、築15年を経た本社社屋2・3階の内装リニューアル工事を行ないました。

顧客の機密情報を扱う業種柄、改装前は事務所兼工場として外部の人々が寄りつき難く、いわゆる『町場の印刷工場』という保守的な印象を色濃く残していたが、従来の刷版印刷からオンデマンド印刷へ大半を移行する事により、各セクションのワークスペースや機密保守が求められる倉庫を省スペース化し、事務エリアワークスペースを2階ワンフロアにまとめ、3階はゲストを積極的に社内に招き入れるために、通路や多目的ブースを含んだ視覚的なコマーシャルスペースを設けました。

CIカラーのブルーペイントを施した各階エレベーターホールで、1階玄関から上がってくるゲストを迎え入れます。ホールから繋がる2階廊下は、プライベート空間と共用部を切り分けるように、天壁全面にタモ材を施した木のトンネルを造りました。この廊下を通り事務スペースへ入退室する従業員の気持ちのオン・オフをコントロールすると共に、ホールでお迎えするゲストに対しての、”第二のファサード”となります。また、その廊下に対し切り欠くように設えた、ガラス張りのミーティングルームでは、壁全面がホワートボードになっており、この場で行なうタイムリーかつスピーディーなミーティングは、活気ある会社として強く印象付ける場となります。

2階のかしこまった設えと相反し、3階コーマーシャルスペースの共用部は、2階と同素材のタモ材に染色やつぶし塗装を塗布した計7色の板材をモザイク状に乱張りし、グラフィカルでポップな2次元の成果物を扱う印刷業としての個性を打ち出し、通路奥の車体のカットボディを彷彿とさせる、白く浮遊するチューブ状のカフェスペースまでの道のりに高揚感を与えています。また対局の壁面にはミラーが張られ、創設以来半世紀に渡って培われてきた刷版技術の印刷原理のように空間を複製させています。

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