概要
所在地 : 熊本県熊本市
規模
カテゴリ : 飲食店(焼肉屋)
計画床面積 : 1F / 46.27m2 (14.00T)
2F/ 35.08m2 (10.61T)
TOTAL / 81.35m2 (24.61T)
熊本県熊本市。上乃裏通りに建つ築年数不明の蔵造りの建物をリノベーションした炭火焼肉店である。
若きオーナーの舌を虜にした、飲食店プロデューサー兼料理人による、肉切りパフォーマンスを見ながら、料理人自慢の肉料理を堪能出来るオープンキッチンスタイルの1Fと、完全個室化した2Fが主な設計プログラムとなっている。
ここ上乃裏では、古き良き町並みや建物が多く残り、古い蔵造りや古民家・長屋が、新たな使い手によってリノベーションされ、感度の高いセレクトショップや飲食店が新たな息吹をもたらしている。メジャーブランドの物販店や飲食店が建ち並ぶ目抜き通り、上通りアーケード商店街と相反した趣であり、熊本県内随一のトレンドエリアである。
計画方針は、既存建物の外装や内壁には極力手をつけず残すため、家具、機器や、2Fの家具ユニット化させた個室など、必要最低限の要素を付加し構成させている。
それにより、数少ない手つかずの『蔵』というポテンシャルを存分に発揮させると共に、極力コストを削減出来るように心がけた。
1Fでは、ミラー効果を生み出すステンレスの磨き材(鏡面仕上げ)や、セメント板を壁に施すなど、硬質な要素を入れつつも、いわゆる古民家改装でありがちな『和』テイストに偏り過ぎないデザインとし、今回の計画に当り使用した化粧木材は、これまで蔵建物を支え続けてきた、歴史を感じさせる重厚な柱や梁などといった、既存建物自体の存在感に負けないような材(カウンターテーブルはケヤキの一枚板で設えている)を用いるなど、既存建物との調和を図ると共に、モダンバーやダイニングを思わせる設えとしている。
2F各個室へのアプローチに設けた坪庭には、ランダムに配された個室群を間接照明の効果によって浮遊させ、近代解釈させたオブジェクトでありながら、間口の躪り戸など、茶室小間を彷彿させるモジュール構成とした。また、蔵倉庫として実際に使用されていた吊滑車や土造りの内壁は、雪見障子に見立てた個室内部の開口部から望める『風景』として残し、建物と共に年輪を重ねたセメント製の洗面器もまた、店内ディスプレイと実用性を兼ねさせ蘇らせている。
Copyright Ⓒ knit. All rights reserved